中性脂肪とコレステロールは同じではありません!違いを知って正しい対策を

中性脂肪の値が高い!悪玉コレステロールが増えている!

健康診断でよく指摘されるこの両者は、似ている面もありますが働きは全く異なります。
このページでは中性脂肪とコレステロールの違いと高いときの対策を、徹底的に説明していきます。

中性脂肪とコレステロールの違いは?

中性脂肪もコレステロールも「脂質」の一種です。しかし、体内で行っている役割が大きく違います。

中性脂肪の働き

中性脂肪はグリセロールと呼ばれる物質と3種類の脂肪酸から作られていて、別名トリグリセリドと呼ばれています。

中性脂肪の大きな役割は体を動かすためのエネルギー源となること。
車などで例えると分かりやすいですが、動くためにはガソリンというエネルギーが必要ですよね。人間の体も同じで、動くためにはエネルギーが必要になります。そのエネルギーになる物質が中性脂肪です。

運動などでエネルギーが必要な状態になると中性脂肪はグリセロールと脂肪酸に分かれて血液中に放出され、エネルギーとして消費されます。

コレステロールの働き

コレステロールは細胞膜やステロイドホルモンなど様々なホルモン、胆汁酸などの材料になっています。
また、食事で摂取した脂質やビタミンの吸収を手助けする働きもあります。

分類するとコレステロールには悪玉コレステロールと善玉コレステロールがありますが、この2種類も違う働きをしています。

悪玉コレステロールはエネルギー源となる中性脂肪を体の隅々まで運び、善玉コレステロールは血管に蓄積した余分なコレステロールや中性脂肪を回収する働きをしています。

中性脂肪が増えると悪玉コレステロールも増加するのはなぜ?

コレステロールと中性脂肪は脂質の一種です。コレステロールは細胞膜や胆汁酸(消化液)、様々なホルモンの原料となり、中性脂肪は体を動かすエネルギー源となります。

コレステロールと中性脂肪はどちらも血液に乗って全身に運ばれます。どちらも脂のため、水が主成分の血液には溶けることができないので単独では体内を移動することができません。
そこで、水(血液)になじみやすいようにアポたんぱくと呼ばれる特殊なたんぱく質と合体してリポたんぱくという物質になり、血液中に運ばれます。

このリポたんぱくの一種が悪玉コレステロールと呼ばれるLDLや善玉コレステロールと呼ばれるHDLです。
その他にもカイロミクロン、VLDL、IDLと呼ばれるリポたんぱくが存在し、それぞれ大きさや比重、働きなどが異なります。

悪玉コレステロールは肝臓でコレステロールと中性脂肪が合成されてできるVLDLが原料となっています。
VLDLは作られると血中に分泌され、血液中で酵素による作用で悪玉コレステロールに変換されます。
最終的に肝臓に戻った悪玉コレステロールは再び再合成され、VLDLに変わります。

このように、通常通りのサイクルが行われていれば悪玉コレステロールが増えすぎることはないのですが、脂質の原料となる食事を摂取しすぎていると体内のコレステロールと中性脂肪が増えすぎてしまい悪玉コレステロールを合成しすぎてしまいます。
つまり、太る(中性脂肪を増やす)食事を続けると悪玉コレステロールも増えてしまうということです。

悪玉コレステロールは食品から吸収した脂質を筋肉などエネルギーが必要な組織に運んでおり、体を動かすための重要な働きをしています。

通常、仕事を終えた悪玉コレステロールを善玉コレステロールが回収し血管内に溜まらないようにしているのですが悪玉コレステロールは普段の食事や肝臓の働き、ホルモンのバランスなどによって変動が起きやすいです。

そのため、通常通り分泌されている善玉コレステロールが増えすぎた悪玉コレステロールをカバーしきれなくなってしまいます。
そうすると、悪玉コレステロールが血管内に蓄積し、動脈硬化などの原因となってしまうため、増えないように注意することが大切です。

中性脂肪の値が低いのにコレステロールが多いという検査結果が出ました。その原因と対策は?

中性脂肪が低すぎると血液中に流れる脂質が低いということですので、エネルギー不足の状態となり元気が出なかったり動機や息切れ、片頭痛といった症状を引き起こします。また、動脈硬化の原因ともなります。

コレステロールが高いと血液がドロドロになってしまい、動脈硬化をはじめとする血管系の病気にかかりやすくなります。
つまり、中性脂肪が低くコレステロールの値が高いと疲れやすくなり、動脈硬化になるリスクが上がるということです。

中性脂肪の値は低いのに、コレステロールの値が高くなってしまっている原因は食事の偏りやストレスといった外的要因にある場合が多いです。

原因1:食事の偏り

体内のコレステロール値が上がってしまう原因として考えられるのは、コレステロールを上げやすい食事の摂り過ぎです。
肉類やチーズといった乳製品、卵などを中心とした食事を続けているとコレステロール値が上がってしまいます。

特に、糖質制限ダイエットなどをしている人はたんぱく質を摂るために肉類を多く食べますので、コレステロール値が高いのに中性脂肪が低いといった状況に陥りやすいです。

原因2:ストレス

ストレスや過労などもコレステロールを増やす原因です。ストレスや過労などが原因で体内の活性酸素が増えると、体内は酸化によってバランスの崩れた組織を正常化するために血液中に脂質を循環させます。

そのため、あまり食事を摂っていなかったとしても血液中のコレステロール値が増えてしまうのです。

対策は日常生活を改善すること

中性脂肪が低く、コレステロール値が高い人は日々の生活を改善する努力が必要です。

食事では卵を控え、お肉は脂身の少ないササミや鶏のむね肉を中心に摂取するようにしましょう。青魚もおすすめです。
また、食物繊維を豊富に含む野菜や海藻、キノコ類を積極的に摂り入れた食事にすることが大切です。

ストレスを溜めないように趣味の時間を設けたり、適度な運動、しっかりとした睡眠もとても大切です。
肥満体型の人は肥満改善のためにダイエットに取り組みましょう。

逆に中性脂肪が高くてコレステロールが少ないときの原因は?対策は必要?

通常、中性脂肪が高いと連動してコレステロールの値も高くなります。これは血液中の中性脂肪が増えることで善玉コレステロールが減少し、悪玉コレステロールが増えることにあります。

それにも関わらず中性脂肪は高いのにコレステロールが低い、といった状態になっている場合は病気を患っている可能性が出てきます。

原因1:肝臓の病気

体内のコレステロールはほとんどが肝臓で生成されています。そのため、コレステロールの値が低い場合は肝臓の処理能力が落ちている可能性が考えられます。
脂肪肝や肝硬変、肝炎といった病気が考えられるためしっかりと検査を受けるようにしましょう。

原因2:甲状腺機能亢進症

甲状腺は血液内にホルモンを分泌することで代謝を正常に保っています。しかし、甲状腺機能亢進症になるとホルモンが分泌されすぎてしまい、全身の代謝が高くなりすぎてしまいます。

こうなると体内のコレステロールを代謝のために大量に消費するため、コレステロール値が低くなっていることが考えられます。

甲状腺機能亢進症になるとイライラしやすくなったり、全身に震えが生じたりします。暑がりになって汗をかきやすくなったり、体重が急激に減少する場合も注意が必要です。

これらの病気のほかに、検査前の食事によって中性脂肪とコレステロールの高さに相違が生じる場合もあります。
中性脂肪だけが高い場合、前日の食事時間や飲酒をしたかどうかを確認しましょう。

また、検査前に食事をしたりジュースなどを口にしている場合も数値が正しく出ません。検査の前の食事とお酒には十分に気を張るようにしてくださいね。

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