健康を気にする人にとっては「中性脂肪ってよく聞くけどどういうもの?」「ただの脂肪とは違うの?」と疑問に思われることも多いと思います。
ここでは、中性脂肪に関する全般的な疑問にお答えしていきます。
中性脂肪とは
人間の体はタンパク質・炭水化物・脂肪によって大部分が構成されています。脂肪は脂質とも呼ばれますが、健康診断の検査結果項目に挙がっている中性脂肪とはその脂質の一種のことを指します。中性脂肪以外の脂質にはコレステロール・脂肪酸・リン脂質などがあり、それぞれ役割が異なります。
※脂質についてはこの記事もご覧ください。
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「お腹の周りに脂肪がついた」などと言いますが、そのような皮膚の下に蓄積された脂肪を組織するものとして中性脂肪も含まれています。また、内臓の周囲にも脂肪はよくつき、その中にも中性脂肪はあります。「脂肪といえば中性脂肪のこと」とみなす考え方もあり、中性脂肪は私たちにとってとても身近な存在です。
肥満の元凶などと考えられがちな中性脂肪、実は人間が生きていくうえで必要不可欠なエネルギーを産出する源としてとても大切な物質なのです。
中性脂肪を化学的に説明すると
中性脂肪はグリセリンという物質と複数の脂肪酸が結合(エステル結合といいます)してできている物質です。グリセリンはアルコールの一種であり、動植物の生体にも含まれています。もちろん人間の体の中にも存在しますし、飲食物を摂って体内で分解されてグリセリンとなることもあります。グリセリンは化粧品の成分としてもおなじみですね。
脂肪酸とは炭素・酸素・水素が結合された化合物で、肉や魚、オリーブオイルやチーズ、酢などの食品に広く含まれています。詳しい方なら飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸、また必須脂肪酸などの言葉を聞いたことがおありでしょう。
中性脂肪このグリセリンと脂肪酸が化学的に結びついているものです。1つのグリセリンに3つの脂肪酸という組み合わせが最も安定しているのでほとんどこの形態となっています。
したがって、中性脂肪を構成している成分はグリセリンと脂肪酸であるということになります。
中性脂肪の単位は?
最近では中性脂肪を測定できる体重計も売り出されていますが、正式には中性脂肪は健康診断などで採血して濃度を測定します。単位は「mg/dL」で、血液1デシリットル(=0.1リットル=100ミリリットル=100cc)中の脂質の重さ(mg ミリグラム)で表されます。検査結果に「TG 90mg/dL」などとあるのは、このような意味です。
中性脂肪はなぜ「中性」というの?
グリセリンと脂肪酸によって成り立っている中性脂肪は、酸性でもアルカリ性でもなく、非常に安定した状態で存在しています。このことから「中性脂肪」と呼ばれています。
中性脂肪からエネルギーが取り出されるときは、酵素によって再び脂肪酸とグリセリンの状態に分解されます。中性から不安定な状態に形を変えるというわけです。
中性脂肪は英語では?
「中性脂肪 英語」とGoogleで検索すると「neutral fat」と大きく表示されます。「中性の脂肪」という意味ですね。「neutral lipid」(中性の脂質)とも言えます。
これらでも通じますが、中性脂肪は英語では「triglyceride」と表されることの方が多いです(次の項目を参照)。「トリグリセリド」または「トリグリセライド」と読みます。健康診断の検索結果に「TG」とあるのは、この「triglyceride」を略したものです。
「tri」(トリ)は「3」を表す接頭語で、中性脂肪がグリセリンに3つの脂肪酸から成り立って安定状態であることも示しています。
また、「tri-acylglycerol」(トリアシルグリセロール)と言われることもあります。
中性脂肪を結合形態で分類すると?
グリセリンと脂肪酸で構成されている中性脂肪ですが、グリセリンは3価といって酸と結びつくことができる手を3つ持っています。グリセリン1分子に脂肪酸3分子が結合して手が埋まった状態が最も安定しています。
ところが、グリセリン1に脂肪酸1のみ、または2のみという状態のものもわずかながら存在します。グリセリンに結合している脂肪酸の数によって、1つのものをモノグリセリド、2つのものをジグリセリド、3つのものをトリグリセリドと呼びます。
中性脂肪のうちのほとんどが、安定感抜群のトリグリセリドです。したがって、中性脂肪のことをトリグリセリドということも多く、英語や検査結果で用いられる理由となっています。
モノグリセリドは添加物としてマーガリンなどに、ジグリセリドもパンやお菓子などによく添加されています。