漢方は中国が起源とする医学ですが、日本でポピュラーになっている漢方の多くは日本で独自に発展した漢方医学で使われる薬のことを言います。
自生する植物や動物・鉱物などから抽出する生薬(しょうやく)を原料とし、様々な生薬を組み合わせて作られています。
そんな漢方薬の中には中性脂肪やコレステロールの値を減らしたり、増加に伴う病気を予防することのできるものが存在します。
中性脂肪対策によい漢方薬を6つ紹介します。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)
防風通聖散は中性脂肪を減少させる漢方薬の中で最もポピュラーな漢方です。
脂質を溶かす作用があり、糖分を体外へ排出してくれる水溶性食物繊維を含む桔梗(ききょう)、血中の中性脂肪やコレステロールの値を減少させ脂肪燃焼効果もある生姜(しょうきょう)、血管を広げ動脈硬化を予防する芍薬(しゃくやく)といった生薬を配合しています。
これら生薬の働きによって、防風通聖散は様々な病気の原因を取り除きます。
特にお腹が出ていて体力のあるタイプの肥満症の人に向いていますので、働き盛りの30~50代くらいの人におすすめです。
田七人参(でんしちにんじん)
高級食材として有名な高麗人参と同じウコギ科の田七人参を使用した漢方です。
田七人参に配合されるサポニンやステロールといった成分は、使いきれずに余ってしまい血液中を浮遊している余分な脂質を減らす作用があります。
また、コレステロール値の低下や結構の促進効果もあるため、生活習慣病の予防効果も高いです。
田七人参にはアルギニンというアミノ酸も配合されており、脂肪の燃焼効果もあるためダイエット効果も高い漢方薬です。
大柴胡湯(だいさいことう)
大柴胡湯は体力があり、がっしりとした体型の人に向けた漢方薬です。
体の中にこもった熱や様々な刺激による炎症を取り除く働きがあり、体が元々持つ機能を高めてくれます。
防風通聖散に含まれる生姜(しょうきょう)や芍薬なども配合されていて、中性脂肪の値を減少させ、動脈硬化を予防する働きに長けています。
便秘や糖尿病の改善にも多く用いられる漢方薬です。
杞菊地黄丸(ごぎくじおうがん)
杞菊地黄丸は日ごろの疲れや過労、持病を持っていたり体質的に体が弱い人に向けた漢方薬です。
腎臓に対して作用する生薬を配合しており、体の中の熱を取り除き余分な水分を体外に排出することで腎臓を良い方向に導いていく働きがあります。
慢性的な腎臓病になると体に必要なタンパク質を尿と共に排出してしまいます。
これを補うためにアルブミンと呼ばれる物質を作り出すのですが、その際に一緒に悪玉コレステロールを作り出してしまいます。
逆に、中性脂肪が増えすぎると腎臓病にかかってしまうリスクが上がります。
腎臓と中性脂肪は深い関係性があるのです。
杞菊地黄丸は腎臓の機能を正しく整えてあげることで中性脂肪の値の改善を目指す漢方薬です。
防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)
防己黄耆湯には体内の余分な水分を取り除く働きがあり、体がむくみやすい人に処方されることの多い漢方薬です。
血液の流れを改善する甘草や中性脂肪の減少効果のある生姜(しょうきょう)が配合されているため、血液が滞りやすい肥満体型の人に効果があります。
血液の流れを改善するため、疲れやすかったり冷え性であったりといった日ごろの体調不良に悩む人にも向いています。
冠元顆粒(かんげんかりゅう)
冠元顆粒は血液の流れが悪く、抹消循環が悪化している人に向けて処方される漢方薬です。
配合されている丹参(たんじん)血栓の予防や溶解、血流を改善します。
また、動脈硬化を防ぐ働きにも長けておりコレステロールが付着してしまう血管の細胞を守り、コレステロールの沈着を予防します。
血液の流れを良くする働きもあり、中性脂肪を減らすというよりは中性脂肪が増えてしまうことによる動脈硬化を予防するために用いられる漢方薬です。
漢方と西洋医学の医薬品の違い
西洋医学で使われる薬での治療となると、直接的に中性脂肪を下げる作用の薬が処方されます。
原因に直接的に働きかけるのが西洋医学での治療方法と言えるでしょう。
一方、漢方医学の場合は内臓の状態などを全て確認したうえで、体型や体調、弱っている内臓器官などに合わせた漢方が処方されます。
症状を強制的に抑える薬とは違い、効果は非常に緩やかですが体の機能を根本から改善していく効果に期待ができます。