脂質や中性脂肪の3つの役割!不足するとキケンな理由

肥満の元凶と考えられていてイメージがよくない中性脂肪ですが、人間が日常生活をスムーズに営んでいくうえで外すことができない3つの役割を持っています。

順に見ていきましょう。

人間が活動するために必要なエネルギーを産み出す

中性脂肪の第一の役割は、大切なエネルギー源であることです。

中性脂肪からエネルギーが産出されるまでの仕組み

中性脂肪は脂質の一つで、3つの脂肪酸と1つのグリセロールがエステル結合したものを指します。
この中性脂肪は「油適」という脂肪を保存する柔らかい袋のようなものの中に入っています。

備蓄されている中性脂肪をエネルギーとして産み出すためには、この油滴から中性脂肪を取り出し脂肪酸とグリセロールに分解し、血液中に放出する必要があります。

放出された脂肪酸とグリセロールは血液に乗って、筋肉や脳・各細胞など全身の必要な場所まで届けられ、人間が活動するためのエネルギー源となります。

エネルギーが緊急に必要になるのはどんなとき?

中性脂肪は体内に貯蔵する量が多く、エネルギーとして使いやすいのが特徴です。

人間が活動するためには血中の糖質をエネルギーとして使いますが、糖質は貯蔵量が少ないため不足しがちです。
糖分が足りずにエネルギー不足となってしまう緊急時に、貯蔵量の多い中性脂肪が必要となってきます。

緊急時に中性脂肪が不足したらどうなる?

中性脂肪が不足しエネルギーが必要となった場合には、一度皮下脂肪や内臓脂肪となった中性脂肪が状況に応じて分解され、足りない分を補う働きをします。

それでもエネルギーが足りない状態が続くということは、身体全体が栄養不足になっていると考えられます。
栄養が欠乏すると体力が低下し、動機や息切れ、ふらつきやめまい、片頭痛や動脈硬化など様々な疾患を引き起こす恐れがあります。

余ったエネルギーはどうなる?

エネルギー源として使われなかった中性脂肪は再び血液中に溶け込み、皮下や内臓周辺の組織へと運ばれ、蓄積されていきます。
これが皮下脂肪、内臓脂肪の正体です。

運動などをしてこの脂肪を再びエネルギーとして消費すれば問題ありません。
しかしそうならずに脂肪の量が増え続けると、血液がどろどろになったり肥満の原因となったりしてしまいます。

また動脈硬化を引き起こす可能性もあり、さらには心筋梗塞や脳梗塞といった重度の病気へと発展してしまう危険性もあります。

皮下脂肪となって体温を保つ・体を守る

中性脂肪には皮下脂肪となって身体を守る役割もあります。

皮下脂肪で体温が保たれる理由とメリット

中性脂肪が皮下の脂肪細胞に溜まることによって、「皮下脂肪」へと変化します。
皮膚の上からつまめる、二の腕や太もも・お尻などについている脂肪はこの皮下脂肪です。

皮下脂肪は保温効果が高く、体内から発生した熱を外へ逃がしにくくする働きがあります。
太った体型の人が痩せている人よりも寒さに強いのは、皮下脂肪によって保温効果が高まっているためです。

皮下脂肪が少なくて困ること

脂肪は「炭水化物・脂質・タンパク質」といわれる三大栄養素の一つでもあります。
人間が生きていくうえで最も重要な栄養素です。

皮下脂肪には体内の熱を逃がさない保温効果の他にも、女性にとっては妊娠時の外部からの衝撃から守るクッションの役割もあります。
皮下脂肪が少ないことにより、お腹の中の新たな生命を守ることができなくなってしまいます。

また、次に説明する内臓脂肪には臓器を保護する働きがありますが、内臓脂肪がつきにくい部分は皮下脂肪で補っています。

加えて脂肪にはホルモンバランスを正常に保ったり、エネルギーを貯蔵する働きもあります。
したがって皮下脂肪が少なすぎると、これらが正常に働かなくなり生命維持活動に影響を与えてしまいます。

内臓脂肪となって臓器を保護する

中性脂肪は内臓脂肪へと形を変えて、臓器を守る役割も果たしています。

もし内臓脂肪が少なくて臓器の保護が不十分ならどうなる?

内臓脂肪とは、腸や胃といった腸間膜脂肪などの内臓周辺に存在している細胞組織のことです。

脂肪=肥満の原因として扱われやすいですが、内臓脂肪は腹部の腸間膜周囲に付着することから臓器を支えて正しい位置に固定したり臓器を保護する役割があり、身体にとって必要なものです。

もし内臓脂肪が少なすぎると、内臓が重力に引きずられて正しい位置にキープすることができず、胃下垂を起こす可能性があります。

それだけではありません。
内臓脂肪は短期間の飢餓状態に備えてエネルギーとして貯蔵されたり、ホルモンを作り出す内分泌器官の役割も担っています。

内臓脂肪には重要な“性質”や“役割”があるため、少なければ少ないほど良いというものでもないと言えるでしょう。

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